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血と汗と涙、というより、ただそれが日常だった。

aimatsuo
10月7日
読了時間: 3分

テスト前の1週間だけが、唯一の休みでした。

それ以外の日は、朝から晩まで吹奏楽部。授業が始まる前に約1時間の朝練。放課後は音楽室に直行して、7時ごろまで練習。コンクールが近づくと、9時まで残ることも普通になりました。

今になって思えば、すごいスケジュールです。でも当時の私は、つらいとも思っていなかった。それが当たり前の一日だったから。毎朝早起きして、サックスを吹いて、帰る。それだけのことが、ごく自然に繰り返されていました。

入部してすぐに楽器を渡してもらえるわけではありません。

最初の数週間は、まるで運動部。マラソン、腹筋、背筋。「吹奏楽部なのに?」と思ったけれど、管楽器には体幹も肺活量も必要で、今になれば意味がよくわかります。発声練習もありました。声を出すことと、息を吹き込むこと。根っこのところでつながっているんですよね。

体が慣れてきたころ、ようやくマウスピースだけを渡されました。楽器本体はまだ先の話。廊下や屋上でひたすら息を吹く日々。ぴーひゃらら、とひどい音しか出なくて、恥ずかしいような、おかしいような。屋上の風にのって、その情けない音があちこちへ飛んでいくのが、なぜか妙に解放的でした。

夏休みが近づくと、「楽器を買う」という話が部員の間で出始めます。私もそのころ、初めて自分のサックスを手にしました。学校の備品と、自分のもの。構えたときの感触がまるで違う。それが嬉しくて、ますます練習に夢中になったのだと思います。

朝練の空気は独特でした。

まだ人のまばらな廊下を歩いて音楽室に入ると、ひんやりとした空気の中に金属と油のにおいが混じっている。その感触が、一日の始まりの合図みたいなものでした。ロングトーンから始めて、音階を吹いて、パート練習へ。音がうまく出た朝は、それだけで一日が少し明るくなる気がしました。

放課後の練習は、また別の空気がありました。

全員が揃って合奏になると、バラバラだった音がひとつの流れになっていく瞬間がある。その感覚がなんともいえず気持ちよくて、もっとうまくなりたい、とただそれだけを思っていた気がします。

コンクールの前は、9時まで。外が暗くなって、帰り道はいつも少し疲れていたけれど、充実した疲れでした。「つらい」より「もっとやりたい」が先に来る。音楽に夢中な子どもというのは、たいていそういうものなのかもしれません。

引退の演奏会まで、その日常は続きました。

気がつけば3年間、サックスと一緒に過ごしていた。フルートを吹くつもりで入った部活で、サックスにどっぷりはまって、ただひたすら吹き続けた3年間。

つらくなかったのは、好きだったから。そう気づいたのは、もう少し大人になってからのことです。

 
 
 

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フルートのつもりが、サックスだった。

中学校に入学して、最初に迷ったのは部活のことでした。 小学生のころから好きだったバレー部に入ろうと思いながら部活見学の時の顧問の先生のお話に惹かれ吹奏楽部に入ろうと決めていました。そして家にフルートがあったので漠然と、「吹奏楽部に入って、フルートを吹いてみたい」と思っていたんです。理由なんて特にない。ただ、フルートってなんとなく、きれいで、繊細で、自分に合いそうだなと。そんな、軽い気持ちでした。

 
 
 

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